相続が発生したとき

3.親族が亡くなり自分に相続の権利が発生した場合

自分の結婚相手や親が亡くなったとき、相続が開始します。その場合には色々な注意が必要です。

(1) 遺言の有無の確認

まず、亡くなった親族が遺言書を残していないかを確認して下さい。

「自筆証書遺言」や「秘密証書遺言」の場合、親しい親族等に預けているか、金庫等に保管していることが多いといわれています。

「公正証書遺言」の場合、遺言の原本は公証人役場に保管されています。最近では、もよりの公証人役場から、公正証書遺言が作成されているのか調べることができるようになっています。

なお、「自筆証書遺言」や「秘密証書遺言」らしきものが入った封筒などが見つかり、その封筒に封がなされている場合、絶対に勝手に開けてはいけませ ん。亡くなった遺言作成者の最後の住所地の家庭裁判所に持って行き、中身を確認する「検認」という手続を取ってください。「公正証書遺言」ではそのような 手続は必要ありません。

もし遺言書を見つけたのに、それを棄てたり、隠したり、内容を勝手に変えたりすると相続権を失うことがありますのでご注意下さい。
遺言がなければ法律の定めに従った相続、遺言があれば原則として遺言内容に従った相続がなされます。

(2) 遺産の内容を検討した結果、借金の方が多い場合

相続ではプラスの財産もマイナスの財産(借金等)も法律が決めた相続分に応じて受け継ぐことになります。

そこで、遺産の内容において借金の方が多い場合には、一切相続しないことを内容とする「相続放棄」をすることもできます。相続放棄は、原則として、相続人が自分に相続権があることを知った時から3か月の期間内に家庭裁判所において相続放棄を申し出なければなりません。

また、相続権があることが分かったけれども、プラスの財産とマイナスの財産(借金等)のどちらが多いか分からないときは、もらえる財産の限度で借金 等を支払う「限定承認」の制度もあります。ただ、限定承認は、相続人全員で行わなければならず、その手続が複雑ですので、実際はほとんど利用されていませ ん。

(3) 具体的にどのように遺産を分けるか

相続人が誰と誰であるかが判明し、遺産にどのようなものがあるのかが判明したら、相続人全員で個々の具体的な遺産について相続人の誰が何を受け継ぐのかについて、「遺産分割協議」を行うことになります。

相続人間で遺産分割協議がまとまった場合、通常、「遺産分割協議書」を作成しておきます。

他方、相続人間で協議がまとまらないときは、家庭裁判所に遺産分割調停を申立て、調停でも話がまとまらなかったときは、審判で最終的には裁判所の判断により決定することになります。